しんご頑張りニュース−活動日記

【22.08.19】赤旗主張・・安倍氏国葬の決定・・疑問や批判にこたえぬままか

  街頭演説中に銃撃され死去した安倍晋三元首相の国葬を9月27日に東京・日本武道館で行うことを岸田文雄政権が決定しました。安倍氏国葬の是非をめぐり世論は割れています。国が費用を丸抱えする国葬は弔意の強制につながる危険が極めて高く、不安や批判、抗議の動きが広がっています。そもそも国葬を行う法的根拠が不明確です。国民の懸念に耳を貸さず、安倍氏の功績について「誠にすばらしい」などと一方的に褒めたたえ、国葬の決定を押し切った岸田政権の姿勢は重大です。


法的な根拠は不明確

  国葬を規定した法令は今の日本にはありません。戦前の「国葬令」(1926年制定)では(1)天皇や皇族(2)「国家に偉功ある者」などが対象でした。国葬には天皇制の強化や侵略戦争の推進のために利用された歴史があります。戦後、日本国憲法の制定にともない国葬令は47年に失効しました。

 51年の貞明皇太后(大正天皇の妻)の死去の際、吉田茂政権は「新憲法下においては国葬は天皇の場合だけに限られている」と解釈し、「準国葬」にしました。

 吉田元首相の国葬(67年)は、佐藤栄作政権が閣議決定しました。しかし、法令の根拠がないにもかかわらず、内閣の独断で決めたことを国会で追及され、政府が釈明に追われた経過があります。

 佐藤元首相の死去(75年)の場合は、自民党内に国葬を求める声がありましたが、三木武夫政権は内閣・自民党・国民有志の「国民葬」にしました。首相引退後から3年の佐藤氏の歴史的評価が定まっていない点とともに、「法的根拠が明確でない」とする内閣法制局の見解を踏まえたとされます。

 当時の自民党幹事長・中曽根康弘氏は、国葬を断念した理由について「法律にもなく、法制局など法律家の意見を聞きみんなで総合判断した結果」(「読売」75年6月3日)などと記者会見で説明しました。法制局から、閣議決定だけでは国を挙げての国葬開催の効力がないとの意見が出たと報じられています(「朝日」同日)。

 80年に死去した大平正芳元首相以降、首相経験者の葬儀は内閣と自民党の「合同葬」がほとんどとなりました。

 吉田元首相を最後に55年間実施されなかった国葬を、なぜ安倍氏で復活させるのか。岸田首相から納得できる説明はありません。首相は、内閣府の所掌事務に「国の儀式」が記されている内閣府設置法を根拠に、閣議決定による国葬実施は可能と主張します。

 しかし、国葬の基準などを定めた法令がないのに、そのような法解釈をするのは無理だとの指摘は絶えません。佐藤元首相の国葬を見送った時と解釈がどう変わったのかも不明です。首相には国民に説明を尽くす責任があります。8月3日召集の臨時国会で徹底的に審議することが必要です。

国民を分断すべきでない
 世論は二分されています。NHK(19日公表)調査では国葬を「評価する」49%、「評価しない」38%です。無党派層では「評価しない」47%で「評価する」37%を上回っています。国民の安倍元首相への思いはさまざまです。安倍政治を国家として礼賛一色にする国葬を実施することは国民に新たな分断をもたらすことにしかなりません。国葬の中止を強く求めます。

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
これまでのしんご頑張りニュースはこちらから
RSSフィード(更新情報)